[映画]沖縄ピンク映画大全
2009.05.11 Monday
ピンク映画と沖縄の関わりで真っ先に思い浮かぶのは、エログロ路線で知られた大蔵映画の『沖縄怪談逆吊り幽霊・支那怪談死棺破り』(1962)だ。これは怪談映画で裸の露出もないのだけれど、どことなくピンクな雰囲気が漂う。それもそのはず、監督はピンク映画のパイオニアとなる小林悟なのだ。
薩摩剣八郎公式ホームページのインタビューによれば、小林は『太平洋戦争と姫ゆり部隊』(1962)でも小森監督の助っ人を務めたが、そこにはもう一人のピンク監督・若松孝二が助監督として参加していたそうだ。ピンク映画の世界と沖縄を舞台にした映画が思いがけない絡み方をしていておもしろい。
実際にピンク映画の中で沖縄が舞台となるのは、沢賢介監督『夜の沖縄 ポルノ狩り』(1972)が最初のようだ。残念ながら私は未見なので、詳しい内容や沖縄ロケの有無がわからない。もしご存知の方がいらしたら、ぜひ教えていただきたい。
鈴木則文監督の東映ピンクバイオレンス『女番長ブルース 牝蜂の逆襲』(1971)は、裸とセックスと暴力が満載だ。その中に「恐喝(カツアゲ)のジュン」という沖縄出身のスケバンが出てきて、本土復帰を前にした故郷への思いを口にする。また一時代を画したにっかつロマンポルノでも、田中登監督が『昼下がりの情事 変身』(1973)に風間杜夫演じる沖縄出身の少年を登場させ、沖縄と本土の関係を暗示的に描いている。ピンク映画も敏感に時代を反映するのだ。
1980年代に入ると、寺島まゆみ主演のにっかつロマンポルノ『ひと夏の体験 青い珊瑚礁』(1981)が、竹富島で2週間のロケを行う。この作品にはたしか当時の竹富町教育委員長が出演して話題となり、ちょっとしたスキャンダルを巻き起こしたはずだ。また同じ寺島まゆみ主演の『聖子の太股 女湯小町』(1982)では、最後にヒロインが恋人と沖縄へ向かう。
逆に新東宝の『変態牝犬調教』(1985)は沖縄の場面から始まるが、実際には風景のスチルがタイトルバックに使われるだけで、現地ロケは行われていない。本番女優として名を売ったポルノの女王・愛染恭子が出演した『愛染恭子in沖縄 本番快感ツアー』(1991)は未見だが、フィルムは東京国立近代美術館フィルムセンターに収蔵されているので、いずれ上映の機会があるだろう。
その愛染が美青年の母親という普通の役を演じたのが、『デッドライン 島唄よ響け、男たちの魂に』(1999年)だ。標的を仕留め損ねたアル中の殺し屋が、亡母の故郷・沖縄へと逃げ、一人の美青年に恋をする。恋心を秘めた殺し屋が無邪気な青年とジャレあう姿が印象的で、ハード「ゲイ」ボイルドの佳品に仕上がっている。ロケは那覇や糸満などで行われたが、沖縄が持つ意味という点では物足りない。監督の新里猛作は東京で活躍する沖縄系2世だ。
最後にあの首里劇場が舞台となる荒木太郎監督・主演の新作『人妻がうずく夜に 〜身悶え淫水〜』(2008)を取り上げよう。主人公は映画館に住み込みで働くモテない男だ。そこへ昔の兄貴分が現れ、密輸した薬と美人の妻を預けて高飛びしてしまう。主人公の味気ない独り暮らしは一変し、まるで新婚生活みたいな毎日が始まるというお話。
ロケは首里劇場のほか、首里の石畳や牧志の市場通りなどで行われ、劇場支配人も客の役で登場する。地元の風景や流れてくる民謡、ラジオ放送など、低予算の中でうまく沖縄の雰囲気をとらえた作品だ。ただし主人公の来歴や年齢が不詳なため、沖縄や映画館をめぐる物語の背景が曖昧に終わったのは惜しまれる。
世良利和の連載ページ「岡山シネマ紀行」
http://www.kibito.co.jp/index.html
世良利和の著書『その映画に墓はない』
http://www.kibito.co.jp/kikan/hyouron.html#4-906577-54-7
蜻文庫(あきづぶんこ)
キネマ探偵団on WEB
http://tokkan-kozo.com/index.html
posted by: ボーダーインク | 世良利和の映画に見る沖縄 | 13:34 | - | - |


